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オオカミ族の少年

オオカミ族の少年
オオカミ族の少年
ミシェル・ペイヴァー/作 酒井駒子/画 さくまゆみこ/訳  評論社

 本国イギリスでは、ポスト「指輪物語」、ポスト「ハリー・ポッター」の呼び声が高い「オオカミ族の少年」を読みました。すでに「エイリアン」、「ブレードランナー」のリドリー・スコット監督で映画化も決定しているようです。評論社から邦訳が出るという話を聞いて期待していたのですが、大好きな絵本作家酒井駒子さん(「よるくま」、「ぼく おかあさんのこと…」など)が表紙と挿絵を手がけた実物を見て迷わず購入しました。
 この本が描き出しているファンタジーの世界は紀元前4000年の森。ヨーロッパ北西部が森に覆われ、人間がまだ農業を知らずに狩猟採集民として暮らしていた頃の話です。巨大な悪霊が乗り移ったクマに父親を殺された主人公の少年トラクは、父との誓いを果たすために「天地万物の精霊の山」をさがす旅に出ます。旅を共にするのはやはり親を亡くした子オオカミのウルフ、太古の森をトラクとウルフが駆け抜けます。

 なによりも深いところで、おぼれる瞳
 なによりも年ふりた、食らいつく石
 なによりも冷たく、なによりも暗い光


 このなぞなぞのような詞に示された精霊への献げものナヌアクを求め、巨大クマから逃れ、まだ幼さの残る少年と子オオカミを物語は冒険へと駆り立てるのでした。

 作者ミシェル・ペイヴァーはオックスフォードで生化学の学位を取得した後、薬事法を専門とする弁護士になったという風変わりな経歴の持ち主です。子どもの頃から「神話と動物もそして遠い昔の人たちがどんな暮らしをしていたのかを知ること」に熱中していたというペイヴァーは、神話、民俗学、考古学の書物を読み漁り、実際にアイスランドやノルウェーなどを旅してこの物語の構想を練り上げたといいます。
 作者の豊富な知識と経験に裏打ちされた世界観が、壮大な「千古の闇」の世界を物語の舞台としてリアル描き出したといえるでしょう。それがこれまでのファンタジーにはない斬新さとおもしろさをこの物語に与えています。たしかにこの本はおもしろく、一読に値します。
 ただ、あえて苦言を呈するなら、この本を二、三章読み進んだときにぼくが抱いた不安は最後まで続き、読み終えたときには不満として残りました。それは作者に見えている世界をすべて読者に伝えきっていないという不満です。描写の場面も言葉足らずで、物語が進行するテンポも速過ぎ、話の展開の必然性も充分とはいえません。おそらく、こうしたぼくの不満を取り除くためには、少なくとも1.5倍のページ数の書き込みが必要だったように思います。「ハリー・ポッター」でいえば、いきなり映画版を見たようなものでしょうか。ということは、もしもこの作者が映画制作に深く関わるのだとすれば、映像は逃げがきかないのでむしろ映画に期待するべきなのかもしれません。
 なお、酒井駒子さんの表紙と挿絵はとてもすてきな仕上がりです。期待が大きすぎた分不満も残りましたが、6部作の1巻目ということで、愛すべき新しいファンタジーの登場であることは間違いありません。


※文中の太字部分は「オオカミ族の少年」より引用
海 五郎 * 読み物 * 19:40 * comments(25) * trackbacks(3)

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コメント

海五郎さん、こんばんは!!
なんと、なんと、ちょうど読んでみたいなぁぁと思っていた本が紹介されていて、またまた感激です!
朝日新聞の読書応援団・夏休み特集に紹介されいたので読んでみたいなあぁぁと思っていました。
絵にも惹きつけられるぁぁと思っていたら、なんと酒井駒子さんですかぁぁ!!
すぐにでも読みたいです(笑)
そして、この本1冊で終るわわけではないのですね・・・6部作とは!! がんばろう 笑

「なつのいちにち」よみました。ページを開く度に叫んでしました。絵本のなかにつれていかれましたねぇぇ、これは!!よかったです。コメントを書いたらTB(覚えたての^^)させてくださいませ。 総合学習の件は近いうちでもお知らせしたいとおもいます〜〜お役にたてるとは・・思えませんが 爆
Comment by tomoママ @ 2005/08/26 12:22 AM
この本は本屋さんでとても気になる本の一冊でした。
なんといっても、酒井駒子さんの絵が素敵です。
映画になるのですか?
どんな感じになるのでしょう。
期待してしまいますが。

私も機会があったら読んでみたいです。
Comment by bamu @ 2005/08/26 9:04 AM
tomoママさん
ぜひ、お読みになることをおすすめします。紹介では少し不満も書きましたが、本としての全体的な評価はかなり高得点です。酒井駒子さんのファンとしてはおまけに付いてるポストカードもグッド。
ほんとに、もう少し作者がくわしく太古の時代を描写していてくれれば...。たとえば、トラクが背負っている「荷かご」について、これは原文ではpackとあるだけだそうですが、訳者が作者に質問すると「枠組みはハシバミの枝で箱のような形につくり、あとの部分はヤナギの細枝を編んでつくってあるもの」という答えが返ってきたそうです。作者の頭の中には明確なイメージがあるのですね。だったらもう少し描写してよ!!
「なつのいちにち」のTBも楽しみにお待ちしています。
Comment by 海 五郎 @ 2005/08/26 10:29 AM
bamuさん
いつもbamuさんのブログでファンタジー系の本が紹介されるたびに、「ああ、またぼくが老後の楽しみに取ってある本が紹介されいる」と、無言のコメントを繰り返していた海五郎です(笑)。
この本もしばらく机の脇に積まれていたのですが、なんとかbamuさんに先を越されずにすみました(爆)。
この「クロニクル 千古の闇」というシリーズは、まだ原文でも2巻目が出たばかりらしいのですが、もう映画化が決定しています。どうやら、あちらの映画界では「ハリー・ポッター」と「ロード・オブ・ザ・リング」の大ヒットで、映画化できるファンタジーを青田刈りしているようですね。
ただ、この作品に関してはすでに監督の名前もアナウンスされていて、闇的な映像を得意とする監督なだけに楽しみです。「ブレードランナー」はぼくの大好きな映画のひとつですし、「エイリアン」もこの監督が手がけた1作目が際だっていましたから。
酒井駒子さんの作画でアニメ化するということが可能なら、それも見てみたいですね。
Comment by 海 五郎 @ 2005/08/26 11:07 AM
こんにちは。
私、最近ファンタジー小説ばかり読んでいます(笑)
映画になるのですね。
それでは映画になる前に読んでおこうかなぁ。

Comment by @ 2005/08/26 9:45 PM
空さん
読書家なら誰しも、映画化される前に原作を読みたいと思いますよね。
でも、「ハリー・ポッター」のように原作が刊行中に映画化が始まってしまうと...。映像の印象が強くて、映画を見てから読んだ巻はどうしても映画のハリーやほかの登場人物が頭の中で動き回ることになります。それって、ちょっと複雑な気分ですね。
Comment by 海 五郎 @ 2005/08/27 7:49 AM
初めまして。トラックバックありがとうございました。
酒井駒子さんの絵とてもステキですね。表紙のイメージがヤングアダルト向けのイメージを醸し出していて、ちょっと読むのに勇気がいりました。ヤングアダルト向けであの厚さなら かなり時間がかかると思ったからです。でも、以外ととっつきやすい内容でさらりと読めました。こちらからもトラックバックさせていただきます。また遊びに来させて下さいね。
Comment by ちょび @ 2005/09/30 3:30 PM
ちょびさん、ようこそ。
こちらにも遊びに来ていただいて、ありがとうございます。
ぼくもファンタジーは大好きで、この「わくわく本」も当初の構想では絵本半分、ファンタジーなどの読み物半分と思っていました。
ところが、原則として過去に読んだ本は再読してから書くようにしていますので、なかなかファンタジーを取り上げるのはたいへんなんです。う〜ん、困った(笑)。

「オオカミ族の少年」は登場人物のキャラクターがはっきりしているので、途中からは楽に読めますね。でも、けっこう肝心な場面があっさりと終わってしまうことが多くて、そこがぼくには不満だったりします。

読書の秋。これからは読み物もたくさん読んで紹介をしたいと思っていますので、また遊びに来てください。
Comment by 海 五郎 @ 2005/10/01 5:02 AM
初めましてこんにちは。
私はこの本の2冊目を読んでいます!!
とても面白い&すばらしい本だと思います!!
映画化・・・みたいですね〜。
トラクはぜひ美形が・・・(殴
Comment by ショウコ @ 2006/05/06 11:17 PM
ショウコさん、ようこそ。
ぼくもいま読んでますよ、「生霊わたり」。
一冊目でぼくが抱いた不満もほぼ解消され、読み応えあるし、おもしろいですね。
まもなくここでも紹介する予定ですので、ぜひまた遊びに来てください。
Comment by 海五郎 @ 2006/05/07 8:58 PM
こんにちは。私も読んでますよ!!・・・面白いですよね〜あれ!!1,2と面白かったので、3が楽しみ〜〜☆早く読みたい♪好きなキャラは、やっぱオオカミのウルフ!私、基本的にオオカミが大好きなんですよ〜。かっこいいし・・・トラクと別れた時はどうなるかと思いましたよ〜〜(ヒヤッ;)でも再開してよかった〜〜♪またウルフの活躍が見られる〜(O▽O)vわ〜い!でわ。
Comment by @ 2006/10/17 5:20 PM
?さん、こんばんは。
ウルフ、かわいいですよね。
まじめに、オオカミがペットにほしいと思いました。
続巻を心待ち。
Comment by 海五郎 @ 2006/10/18 12:02 AM
オオカミ族の少年読みました!!
少年トラクと子オオカミウルフ♪
オオカミ大好きです!
Comment by 名無しです @ 2006/11/25 3:35 PM
名無しさん、こんにちは。
ウルフ、かわいいですよね。
続きの「生霊わたり」では、なかなかウルフが登場せずヤキモキさせられますが、ちゃんと活躍します。
ぜひ、続刊も読んでみてください。
Comment by 海五郎 @ 2006/11/25 4:01 PM
わたしも読みましたよ!!
図書館で借りているんですけどもう、2回くらい読みました。
すっごく不思議な世界ですよね・・・。

わたしはあの本の挿絵が好きです。

トラク「サイコ〜!!」です(^^♪
Comment by 上海ガール @ 2006/12/27 9:37 PM
上海ガールさん、こんばんは。
挿絵の酒井駒子さんは絵本にもすてきな作品があるので、ぜひ読んでみてください。
トラクとウルフがこれからどうなっていくか、楽しみですね。
Comment by 海五郎 @ 2006/12/28 3:01 AM
三巻はやく、発売されないかなあ・・・。
楽しみだなあ・・・・・・・・・。
Comment by ウルフ二号 @ 2007/04/27 6:05 PM
ウルフ二号さん、こんばんは。
三巻、楽しみですね。
次の巻が出るのが楽しみなんて、久しぶりです。
Comment by 海五郎 @ 2007/04/28 1:33 AM
こんにちは!はじめまして。
この本、読んだばかりなのですが、とても面白かったです。
2,3は、まだ読んでいないのですが、近く読んでみたいです。

海五郎さんのブログには、他にも一杯本や絵本の紹介があるので、今後も参考にさせて頂かせて下さい。

はらぺこあおむし、おやすみなさいおつきさま
は、家の子供がもうちょっと小さい頃に、愛読書でした。
ビデオも出ていて、こちらも本とは違った味わいがあって
お気に入りでした。TBさせて下さいね♪
Comment by latifa @ 2007/06/13 9:35 AM
latifaさん、はじめまして。
「生霊わたり」の紹介にも書きましたが、2巻目以降は物語としての内容が濃くなっていて、さらにおもしろいですよ。
この物語、ウルフを含めて主人公たちの視点で切り取った六千年前の世界が描かれていて、ありそうでなかったファンタジー作品だと思います。
続刊や映画化が楽しみですね。
Comment by 海五郎 @ 2007/06/15 1:32 AM
3巻みたい!
Comment by とうごろう @ 2007/10/29 10:09 PM
とうごろうさん
3巻はおもしろいですよ。
ぜひ、読んでください。
Comment by 海五郎 @ 2007/10/30 12:18 AM
全部で6巻あるんでスよー全部よみてーーーー
Comment by とうごろう @ 2007/11/03 6:04 PM
・・・はじめまして!
わたしは、図書館でこの本を知りました。
あー・・・。4巻目、読み終わったところです。
トラクって・・・。すごいなーと思います!♪
Comment by トラレンウルフ @ 2009/05/16 3:08 PM

私は今年初めて念願の“クロニクル千古の闇シリーズ”を手にとる事が出来ました。海 五郎 さん仰るように 私も作者の思いをもっと詳しく書いてほしい と思う面が多々ありましたが、これはこれでありかな とも思いました。
謎が多いお陰で続きが気になるし じょじょに解ってきたり 逆に謎が深まったり‥…この取引がこの物語の醍醐味になってる気がするのです。
私も酒井駒子さんの 表紙の絵に感動しました。それはもう 本に吸い込まれそうな程惹かれてしまいました。
Comment by 紅美 @ 2009/07/15 11:32 PM
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オオカミ族の少年ークロニクル千古の闇ー

ミシェル・ペイヴァー=作  さくまゆみこ=訳 酒井駒子=画 評論社 今から6000年前の、ヨーロッパ北西部全体が森林でおおわれていた時代のお話。 トラクと父は、凶暴なクマに襲われ、父は瀕死状態だった。 あれは、本当にクマだったのだろうか? クマは普
From ファンタジー文庫(書庫) @ 2005/09/30 3:32 PM

オオカミ族の少年

オオカミ族の少年/ミシェル ペイヴァー ¥1,890 Amazon.co.jp 主人公トラク、ワタリガラス族の娘レンそしてオオカミの子供の冒険記。 あらすじはいたってシンプル。父の仇うちです。 一応ファンタジーの分類に入るんでしょうか?結構な厚さがあります
From 座間市民の読書記録 @ 2007/03/13 11:29 PM

「オオカミ族の少年」 ミシェル・ペイヴァー 感想

オオカミの言葉を理解出来る少年(かつてオオカミに一時期育てられた過去があるため)と、オオカミの子供が、とても良い感じ!その2つの心の触れあい部分がまず好きです。
From ポコアポコヤ @ 2007/06/13 9:32 AM
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