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たくさんのお月さま

たくさんのお月さま
たくさんのお月さま
ジェームズ・サーバー/文 ルイス・スロボドキン/絵 なかがわちひろ/訳  徳間書店  

 この本はぼくの生涯の愛読書です。ぼくがこの「たくさんのお月さま」という物語とはじめて出会ったのは、今江祥智さんの訳で宇野亜喜良さんが表紙と挿絵を描かれた旧版でした。現在は原書に忠実な形で絵本として出版されていますが、やはり絵本として楽しむよりは物語そのものを楽しみたい本ですね。
 この「たくさんのお月さま」は物語の王道を行く作品、たとえて言えば古典落語の名作みたいなものでしょうか。もうじき11歳になるという主人公のレアひめはある日病気になってしまいました。木いちごのタルトの食べ過ぎというのがその病気の原因らしいので、まるで同情の余地はないのですが。ところが王さまときたら「なにか、ほしいものはあるかい?」ですよ。おいおいってな感じです。おまけにレアひめの答えが「お月さまがほしいな。お月さまをもらったら、きっとげんきになるとおもうの」ですから、もうどうしようもない親子です。
 それを聞いた王さまは大臣を呼び、魔法使いを呼び、数学の大先生を呼び、お月さまを手に入れるよう命令します。まあ、王さまが登場する物語でこの手の人たちが役に立った試しはありません。あきらめかかった王さまは道化師を呼ぶのですが、この道化師がお姫さまからちゃっかりと月がどんなものかを聞き出して月のレプリカをつくってしまいます。
 調子に乗ってあらすじを書き過ぎてしまいました。お姫さまはこのレプリカの月に満足するのでしょうか。それに、本物のお月さまはどうなるの。それは実際にこの物語を読んでゆっくりとお楽しみください。
 余談ですが、この物語がアメリカで出版されたのが1943年。先日紹介した絵本「かもさんおとおり」と同様に、ちょうど太平洋戦争の時代です。この当時のアメリカはいい意味で一番理想に燃え、豊かだったのでしょうか。この間のイラクでの占領を見て、理想に燃えたアメリカに占領された日本の幸運を思わずにはいられません。
海 五郎 * 読み物 * 11:58 * comments(10) * trackbacks(2)

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コメント

こんにちは♪
海五郎さんのあらすじを読んでますます早く読みたくなりました。
役に立った試しのない人たちは、なんとなく人間味にあふれていて味があって好きです。
もうすぐ手元にくる予定です☆
Comment by 萌ぴょん @ 2005/08/04 9:25 PM
萌ぴょんさん
わざわざ来ていただいて、ありがとうございます。
この物語でも「役に立った試しのない人たち」は、なかなかいい味出してますよ。ある意味、どこにでもいる普通の女の子が姫になってしまったようなレアひめにはとてもかないませんけどね。
よかったら、また読後に感想を聞かせていただけるとうれしいです。
Comment by 海 五郎 @ 2005/08/05 6:59 AM
長女は幼稚園のころ、七夕の願い事に「おひめさまになりたい」と書くような子だったので、この絵本は大好きでした。
厚紙を丸く切って金の折り紙を張ったペンダントを作って首からさげてレア姫ごっこをしていました。
宇野亜喜良さんの絵のと両方もっています。訳は今江さんの方が好き、絵は、こちらの方が好きです。
「たとえて言えば古典落語の名作」なるほど、納得です。王様のところに呼ばれてくる人たちの「言い訳(?)」は、淀みなく朗読したいです。(結構楽しんで読んでいました)
Comment by ぱせり @ 2005/08/05 7:09 AM
ぱせりさん、おはようございます。
いま、ぱせりさんのところに遊びに行っていたところです。久しぶりに「えほんのもり」を抜けて「本の森」まで足を踏み入れたら、「平行植物」のこともグレイス・ペイリーのことも書かれているのですね。驚きました。グレイス・ペイリーのところにコメントを書き始めて、ちょっとここに戻ったらぱせりさんのコメントがあったのでさらにびっくりです(笑)。
ぼくも訳は今江祥智さんのものの方が好きです。迷ったのですが、そちらは絶版なのでこちらを紹介することにしました。
ぼくが絵本やらファンタジーやらアメリカ小説やらをそれこそ手当たり次第に読んでいた1970年代、グレイス・ペイリーの訳者である村上春樹さんはまだ国分寺で喫茶店のマスターをしていて、そこには「指輪物語」の地図が貼られていました。なんか、どこかでつながっているものですね。
では、「本の森」に戻ります。
Comment by 海 五郎 @ 2005/08/05 7:43 AM
こんにちは。
やっとやっと読むことが出来ました♪
月並みですが、本当にいい本でした。
王様の親バカぶり、家来たちのつまらない大人ぶり、
それに比べてレノア姫の自信にあふれた率直さが、とても痛快でした。
今回は図書館で借りましたが、是非手元に置いておきたいので買おうと思っています。
単純におもしろい☆楽しい☆いいぞ☆というレベルでblogを書いている私と違って、その絵本の歴史や背景までご紹介されている海五郎さんのblogは、本当に勉強になります。
これからもよろしくお願いいたします♪
Comment by 萌ぴょん @ 2005/09/24 1:18 PM
萌ぴょんさん、お待ちしてました(笑)。
気に入っていただけたようで、ぼくもうれしいです。
「単純におもしろい☆楽しい☆いいぞ☆」、それが基本ですよ。とくに絵本や児童書は、どこまで読み手がその世界に入り込むことができるか、そのことで作品の善し悪しはほとんど決まってしまうように思います。読者を引き込むだけの力を持った作品、そこには必ず読み手が得るべきものが隠されているはずです。もっとおもしろい本に出会いたい、それがこれからもぼくの欲張りな願望です。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
Comment by 海 五郎 @ 2005/09/24 7:06 PM
海 五郎さま
こんばんは!はじめまして。
トラックバックありがとうございました。
実は私はいまだ情けなくもトラックバック出来ない初心者なので、コメントの名前にエントリのリンクを入れさせていただきました。なにとぞお許しくださいませ(泣)。
そしてさらに情けなくも、いまだ「宇野亜喜良」版を読んでいないテイタラクなのですよ!さっそく図書館にリクエストかけてみます!
スロボドキン版での訳文も、まさに落語のような遊び心たっぷりの長台詞が楽しめて、読み聞かせの際には、どこまでよどみなくつらつらと読めるか、ということに結構熱くなったりするのですが(笑)、今江さんの訳文ではどのように訳されているのか、いまからとっても楽しみです。

それにしても素敵なブログですね!
知らない絵本がいっぱいなので、またゆっくりお邪魔させてくださいませ。
どうぞよろしくお願いいたします。
Comment by くどうちえこ @ 2005/09/26 9:38 PM
くどうちえこさん
こちらにも来ていただいて、ありがとうございます。
この「わくわく本」は日記ではないので、大好きな本を過去のものにしたくなくて、ときどき検索をかけたりしてTBを送らせていただいたりしています。今回は萌ぴょんさん経由で伺わせていただきました。
古い記事にコメントをいただくのも大歓迎です。よかったらまた遊びに来ていただいて、どこかに足跡のこしいってください。
こちらこそよろしくお願いします。
Comment by 海 五郎 @ 2005/09/27 4:04 AM
初めての投稿なのです。

子供の時に与えられて読んでいた本です。36年くらい前でしょうか?私の中では思い出の大切な本なのですが、5歳年下の妹も多分印象に残る本だったと思います。
今もその時に出会った児童文学はたくさんです。

たくさんのお月さまはわがままな子供のレノア姫・甘やかしすぎの父・無責任で日和見な大人・現実的な道化師...宇野アキラさんの挿絵とともに感じたインパクトは少し大人になってからのビアズリーの感覚でした。(一度は通る道だったのかも)
久しぶりに物語のお話にふれてよっかった。

長くなっちゃいました。



Comment by 天竺葵 @ 2008/09/07 1:43 AM
天竺葵さん
はじめまして。
ビアズリーの感覚、わかる気がします。
僕も今でも宇野さんの挿絵で出会ったときの印象が拭えません。
しかし、サーバーの物語が紡ぎ出す魅力は、今でも色褪せるものではないですね。
けっして座右の書といったものではないけれど、僕にとっては心のどこかにいつも潜み続けている物語です。
Comment by 海五郎 @ 2008/09/08 1:55 AM
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From my favorite things @ 2005/08/19 8:09 PM

「たくさんのお月さま」

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From 絵本だいすき @ 2005/09/24 1:04 PM
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