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きもち


きもち
きもち
谷川俊太郎/ぶん 長新太/え  福音館書店   

 子どもが身の回りの世界を少しずつ認識していかなければならないとき、そこに斬新な切り口でそっと世界を切り取って見せてくれるおとながいたら、そんなすてきなことはありません。
 谷川俊太郎さんと長新太さんがかつて月刊誌「かがくのとも」に残した名作「きもち」が待望の絵本化です。このお二人の絵本では個の社会的関係を描いた「わたし」があまりにも有名ですが、それに負けず劣らずこの「きもち」も痺れます。
 なぜって、人の様々な「きもち」がなんなのか、それを絵本にしてしまった作品だからです。しかも、表紙には「谷川俊太郎 ぶん」って書いてありますが、ページをめくってもめくってもなかなか谷川さんのテキストは出てきません。絵の中の捨て猫が入れられた段ボールに書かれた「ほしい人は どうぞ かわいがって ください」というのは、谷川さんのテキストなのか長さんの絵なのかって、おとなはどうも余計なことを考えます。
 谷川さんと長さんの共同作業がどのように行われたのかもついつい想像してしまいます。「長さん、前半はぼくの原稿ないんだけど、こんな風に絵を描いて」なんて言ったのかなとか、それとも長さんの絵を見て「この絵にはもうぼくのテキストはいらないね」だったのかなとか……。これはあくまでもぼくの想像ですよ。

 全28ページの絵本で、活字が登場するのは22ページからです。

 いろんな きもちが
 うまれては きえ
 きえては うまれる
 やさしいきもち
 おこるきもち
 はずかしいきもち
 おそろしいきもち……


 しかし、この絵本は「きもち」を扱っているだけに、とても奥が深くできています。表紙に描かれた自動車のおもちゃ。この自動車に注目して読み進めれば、そこには活字が入り込む隙がなかなかないほどのドラマが広がります。

 なお、本書の刊行と同時に谷川さんの認識絵本でやはり重要な作品である「とき」と「こっぷ」も復刊されました。

※文中の太字部分は「きもち」より引用


海 五郎 * 日本の絵本 * 02:00 * comments(2) * trackbacks(0)

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コメント

文字がない絵本というのもありますが、
この本は文字のない絵本とはまた違ったよさがありますね。

この本の22ページにたどりつくまでに、
気持ちをあっちに持っていかれ、
こっちに持っていかれ、揺さぶられたあげく、
谷川さんにまとめ上げられてしまいました。
そして、こんなふうに気持ちが揺れ動くのは、
生きてるからなんだなぁって、素直に思えます。

長さんも谷川さんも大好きなので、
この本に出会えてとても嬉しいです。
Comment by しんばる @ 2008/02/26 10:23 AM
しんばるさん
この絵本の21ページまでの「ため」みたいなものってすごいですよね。
谷川さんと長さんの共同作業が実際にどうやって進められたのか、とても興味があります。
機会があったら、ぜひ谷川さんに聞いてみたいものです。
それにしても、谷川さんのこういった一連の絵本はとても哲学的で、絵本を通して子どもの頃にそういった思考のベースを身につけられちゃうのって、なんかあらためてすごいことなんだと思います。
Comment by 海五郎 @ 2008/02/27 1:14 AM
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