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やさしいことばで日本国憲法

やさしいことばで日本国憲法―新訳条文+英文憲法+憲法全文
やさしいことばで日本国憲法―新訳条文+英文憲法+憲法全文
池田香代子/訳 C.ダグラス・ラミス/監修・解説  マガジンハウス   

 今回の強引な教育基本法改正の動きを見ていると、憲法改正が具体的にスケジュール化されるのもそう遠くない将来のように思えてきました。
 そんなときだからこそ多くの人、中学生や高校生にも「日本国憲法」に触れ、「日本国憲法」について考えてもらいたいと思います。私たちが何を礎にこの半世紀を生きてきたのか、そしてなにを大切にしてこれから将来の暮らしを守っていくべきなのかを。

 そんな際に最適なテキストなのが、この「やさしいことばで日本国憲法」です。この本には憲法の中でとくに重要な国民主権、世界平和、基本的人権にかかわる部分(前文、1、9条。3、9、10章)が原文である「英文憲法」とともに、わかりやすい日本語で表現された新訳として載っています。訳者は「世界がもし100人の村だったら」の池田香代子さんです。
 「英文憲法」とは「日本国憲法」が制定される際に同時に文章化されたもので、GHQのスタッフが書いたその「英文憲法」をもとに「日本国憲法」の多くの部分は条文化されました。

 たとえば、解釈が揺れる9条第2項は次のようになります。

 (新訳) この目的をまっとうするために、
      陸軍、海軍、空軍そのほかの、
      戦争で人を殺すための武器と、
      そのために訓練された人びとの組織を
      けっして持ちません。
      戦争で人を殺すのは罪ではないという特権を
      国に認めません。

 (英文) In order to accomplish the aim of
      the preceding paragraph,
      land,sea,and air forces,
      as well as other war potential,
      will never be maintained.
      The right of belligerency of the state
      will not be recognized.

(正文) 前項の目的を達するため、
     陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
     国の交戦権は、これを認めない。


 この新訳と英文を読んでいただければ、解釈が揺れているのは意図的な「解釈改憲」だということが一目瞭然です。もちろん、いまのアメリカにはその方が都合がいいのでそれを指摘されたりはしません。

 さて、改憲を推し進めようとする人たちが決まって口にするのは、「日本国憲法」はGHQがつくったものだから自分たちの手で作り直そうという論拠です。ちょっと聞くと、もっともな話のようにも聞こえますね。しかし、果たしてそうなのでしょうか。
 近年のアフガニスタンやイラクの情勢を見ると、日本現代史の最大の幸運は当時のGHQがまだアメリカの良質な部分を具現していたことだと思えます。さきに書いたように「日本国憲法」の条文の多くはGHQのスタッフによって英文で書かれ、それをもとに翻訳されました。その作業にはアメリカ人の理想に燃えた叡知が注がれたのと同時に、過去の過ちを認め敗戦を乗り越えて立ち直ろうとする日本人の希望と強い意志があったことは想像に難くありません。「日本国憲法」は単に日本という国の憲法であるにとどまらず、人類が不幸な大戦を乗り越えて到達した高潔な精神を形にしたものなのです。
 それを自分たちのものではないから改憲をというのは、あまりにも心が狭い話のように思えますし、ぼくにはそんな人が提唱する新しい憲法がいまの「日本国憲法」よりも優れたものになるとはとても思えません。

※文中の太字部分は「やさしいことばで日本国憲法」より引用

海 五郎 * 読み物 * 19:43 * comments(5) * trackbacks(2)

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コメント

海五郎さん,こんばんわ。考えもまとまらないまま,随分前に井上ひさしさん,いわさきちひろさんの日本国憲法の絵本を紹介しました。海五郎さんの記事を読んで,ちゃんと考えなくっちゃな、と改めて思いました。TBさせてもらいました。
Comment by yuta @ 2006/12/04 11:32 PM
yutaさん、コメントありがとうございます。
あまり深く考えなくても、「日本国憲法」を誇りに思っている日本人って多いのではないでしょうか。
ぼくだって、そんなひとりです。
でも、これからの時代はそんなのんきなことではいけないのかもしれないなって思いました。
きっちり考えて、人にも自分の考えていることを伝え、守るべきものを守る。
そのための努力を自らに課そうと思います。
Comment by 海五郎 @ 2006/12/05 1:33 AM
命日を少し過ぎてしまいましたが、レノンのハッピー・クリスマスを聴きながら、私も大切にしている「日本国憲法」の本を紹介することにしたので、TBさせていただきました。プレゼントしたときには中学生だった姪っ子も、じき高校卒業です。勝手な願いですが、彼女がいずれ母親になるときにも、やはり同じ憲法の下で子を産み育てて欲しい、と願ってます。
Comment by なつめ @ 2006/12/10 11:22 AM
なつめさん、こんにちは。
この「やさしいことばで日本国憲法」を訳した池田香代子さんも、そのきっかけがジョン・レノンのイマジンを翻訳したことだと序文で書かれています。
ただ、国がなければ戦争もないというイマジンの単純にして明快な発想も、敗戦の深刻な反省から生まれた交戦権を放棄するという日本国憲法の理念も、今は世論からどんどん遠ざかっていくように思えます。
「拉致問題」を軸にした政府のあからさまな世論操作が行われるような時代だからこそ、これからの時代を担う子どもたちに自分で考える力を身につけて欲しいと願わざるを得ません。
もちろん自分の考えを押しつける気はありませんが、自分が何を大切にしているのか、そのことは機会を積極的につくってでも子どもたちに伝えていきたいと思います。
Comment by 海五郎 @ 2006/12/10 4:51 PM
英文憲法ですか。良いことを教えてくださいました。
このまま現行憲法を続けたら、日本はずっとアメリカの奴隷のままになるってことがわかりました。
Comment by 鳩 @ 2012/12/28 9:46 AM
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井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法

ウルトラマンに変身後,2分30秒ぐらいの状態かなぁ〜,と思ったりする。 本当は,
From こころが生ずる『場』 @ 2006/12/04 11:26 PM

【12月8日】Happy X'masを聴きながら、日本国憲法を読む

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From 西瓜糖とサクランボ @ 2006/12/10 11:15 AM
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