<< October 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

スポンサードリンク * - * * - * -

サンタクロースとぎんのくま

サンタクロースとぎんのくま (世界傑作絵本シリーズ)
サンタクロースとぎんのくま (世界傑作絵本シリーズ)
マレーク・ベロニカ/作 みやこうせい/訳  福音館書店   

 先日からクリスマスに大切なのは「思いやり」だなどと偉そうに書いていますが、「思いやり」ってなんでしょう? 自分を犠牲にして他人のためを思うこと?
 誰だって自分がかわいいし、自分を大切にしたい。そう考えるのは自然なことだと思います。だったら、人はどうやって他人を思いやればいいのでしょう?
 その答えを教えてくれるのがこの「サンタクロースとぎんのくま」です。

 雪の夜、マルチとモニカ兄妹のところにサンタクロースがやってきます。サンタクロースは兄のマルチに「ぎんのくま」を、妹のモニカには「まり」を置いて帰りました。
 朝、子どもたちはサンタクロースのプレゼントに駆け寄ります。マルチはうれしくて飛び上がりましたが、モニカはしくしく泣き出してしまいます。

 「サンタさんは まちがえのたのよ。
 わたしが ぎんのくまで、
 おにいちゃんは まりだったのよ。
 ねえ、とりかえてちょうだい!」


 ふたりは「ぎんのくま」を取り合いますが、そこはマルチのほうが大きいのでモニカは負けてしまいます。泣き続けるモニカの様子を見て、マルチは「ぎんのくま」に話しかけます。

 「きみと いっしょで とても うれしいんだけど、
 モニカのこと どうしたら いいんだろう。
 そうだ、モニカに きみと そっくりの くまを
 かってあげよう!」


 マルチは貯めていたお金を持っておもちゃ屋に急ぎますが、そこには「ぎんのくま」はありませんでした。がっかりして家に帰ってきたマルチに、家の前の雪だるまが話しかけてきました。サンタクロースのところへ行ってみろというのです。
 そこからマルチの「ぎんのくま」を求めての冒険がはじまります。森の中で寒がっているリスたちに自分の手袋を帽子代わりにあげたマルチ。オオカミに「ぎんのくま」を取られてしまったときに助けてくれたのはそのリスたちでした。
 そうして、サンタクロースに出会ったマルチは……。

 自分のことと限りなく同じように誰かのことを思うこと、それが思いやりですね。作者のベロニカさんは「ラチとライオン」などの作品で親しまれるハンガリーの作家ですが、紫色の小鬼をポケットに入れたサンタクロースなどちょっとかわったクリスマスの絵とともに、とても心温まるお話を届けてくれました。

※文中の太字部分は「サンタクロースとぎんのくま」より引用

海 五郎 * クリスマス絵本 * 13:59 * comments(0) * trackbacks(0)

モグのクリスマス

モグのクリスマス
モグのクリスマス
ジュディス・カー/作 三原泉/訳  あすなろ書房   

 ぼくと一緒に暮らしているねこの海(かい)は、掃除機が大嫌いです。ぼくが掃除機に手をかけただけで、一目散に一番遠いところまでダッシュして、一番高いところに駆け上ります。ねこはどうしてこういうときに高いところに登るのでしょう。

 この「モグのクリスマス」の主人公ねこのモグも一緒です。
 ある日のこと、モグが昼寝から起きると、まわりの様子がいつもと違いました。誰もモグをかまってくれず、なにやら忙しそうにしています。それにいつもよりたくさんの人がいます。たいくつで家の中が落ち着かないモグは庭に出て昼寝をしていました。
 ところが、目を覚ますとモグは目がまん丸になりました。なぜって、大きな木が歩いてきたからです。

 「木が あるくなんて、そんな ばかな!」
 モグは あわてました。
 「木は じーっとしていて、あるかないはずなのに。
 しっしっ! こっちに こないで!」
 モグは たかいところに にげました。


 屋根の上に駆け上ったモグは夜になっても降りてきません。
 朝になってもモグはまだ屋根の上です。寝心地のいい場所を見つけて、モグがすてきな夢を見ていると……。

 作者のジュディス・カーさんは一九二三年、ベルリン生まれ。その後、ナチスの迫害を逃れて、ロンドンの美術工芸学校で学びました。この絵本は「わすれんぼうのねこ モグ」にはじまるモグの人気シリーズの一冊です。

 家族揃ってのクリスマスの準備や、ねこのモグも含めてみんなで喜びを分かち合う様子からじんわりとその温かさが伝わってきます。

※文中の太字部分は「モグのクリスマス」より引用

海 五郎 * クリスマス絵本 * 18:21 * comments(2) * trackbacks(0)

クリスマス

クリスマス
クリスマス
バーバラ・クーニー/作 安藤紀子/訳  長崎出版   

 クリスマスほど西欧の文化が我が国に深く根付いたものは他に類がありません。しかし、その本来の趣旨や精神への理解は年を追うごとに薄らいでいるようにも思います。
 この「クリスマス」は、そんなぼくたちがクリスマスへの理解を深めるための格好の材料となるでしょう。バーバラ・クーニーさんの一九六七年の作品ですが、初めての翻訳です。

  寒くて夜のながい日がつづいていますが、人びとのあたたかい思
 いやりの心があたりをみたしています。
  世界じゅうで、たくさんの子どもたちが、クリスマスを首をながく
 して待っています。


 クリスマスの物語が、ずっと昔、はるか遠くの国の馬小屋で生まれた男の子の話から始まること。キリスト誕生以前にも世界各地に冬至を中心に様々な祭りがあって、それがやがてクリスマスに集約されていったこと。サンタクロースやクリスマスに関する様々な風習の起源など。クーニーさんの文章と絵が優しく説いてくれます。

 こうした欧米のクリスマスを題材にした絵本や前回紹介したクリスマス音楽から、ぼくらがなによりも感じ取らなければならないのは、彼らがいかにこの季節を慈しみ、思いやりで満たそうとしているかだと思います。
 今年のクリスマスにはこの本を開き、あらためてクリスマスについて考えてみるのはいかがでしょう。思いやりに満ちたあたたかいクリスマスをお過ごしください。

※文中の太字部分は「クリスマス」より引用

海 五郎 * クリスマス絵本 * 14:44 * comments(0) * trackbacks(0)

ゆきだるまのクリスマス!

ゆきだるまのクリスマス!
ゆきだるまのクリスマス!
マーク・ビーナー/絵 キャラリン・ビーナー/文 せなあいこ/訳  評論社   

 気がつけばクリスマスまであと二週間。いまさらですが、今年は「クリスマス絵本」特集はやりません。クリスマスの絵本をお探しの方は、右のカテゴリーにある「クリスマス絵本」をクリックし、どうぞ参考になさってください。とくにおすすめは、「サンタクロースってほんとにいるの?」、「よるくまクリスマスのまえのよる」、「ちいさなもみのき」の三冊です。

 というわけで、きょうは「わくわく本」がお届けする今年唯一のクリスマス絵本「ゆきだるまのクリスマス!」の紹介です。
 クリスマス・イヴの夜に、子どもたちが次の日の朝を楽しみにぐっすり眠っている頃、ゆきだるまたちが集まってクリスマスを楽しみます。この絵本にはそんな楽しいゆきだるまたちのクリスマスが描かれています。そっと、ゆきだるまたちの秘密をのぞいてみましょう。

 「シィィッ、しずかに」だれかが いう。
 そりの すずの ねが きこえるから。
 おかを こえて やってきたのは、
 ゆきだるまサンタ!


 そう、ゆきだるまの世界ではサンタやトナカイだって、みんなゆきだるまです。ちょっぴり冷たそうだけど、みんな明るくて暖かな表情。ページを開く度に、見ているぼくたちまで楽しい気分にさせてくれます。こんな暖かい気持ちにさせてくれるクリスマス絵本がほかにあったでしょうか。とびきり楽しくて、暖かいクリスマス絵本です。

 そして、ゆきだるまたちの楽しげなクリスマスの様子に夢中になって読み終えると、最後のページにはこんなことが書いてあります。

 ねこ、うさぎ、サンタのかお、
 ティラノサウルス、ちいさい ねずみくんが、
 ばめんごとに かくれているよ。
 ぜんぶ みつけられたかな?


 やれやれ、ぼくはお話に夢中でひとつも発見できませんでした。もう一度最初のページに戻ってチャレンジです。

 みなさんがクリスマスの季節をすてきな絵本とともに暖かく過ごされますように。そして、すてきな絵本との出会いがあったら、ぜひお聞かせください。また来年は「クリスマス絵本」特集をやってみたいと思います。

※文中の太字部分は「ゆきだるまのクリスマス!」より引用
海 五郎 * クリスマス絵本 * 18:11 * comments(2) * trackbacks(0)

ムーミン谷のクリスマス(大きくなった子どもたちへ その2)

ムーミン谷のクリスマス ― ムーミン・コミックス 第5巻
ムーミン谷のクリスマス ― ムーミン・コミックス 第5巻
トーベ・ヤンソン、ラルス・ヤンソン/作 冨原眞弓/訳  筑摩書房  

 きょう紹介するのは、正確には絵本ではなくてコミックスです。
 ムーミンの作者のトーベ・ヤンソンさんは十六歳のとき下宿していたおじさんの家で、夜中にお腹をすかせて夜食を台所で食べていたのをおじさんに見つかってしまいました。そのとき、おじさんはふざけてこう言いました。
 「レンジ台のうしろには、ムーミントロールという生き物がいるぞ。こいつらは首筋に息を吹きかけるんだ」。
 それが、ムーミン誕生のきっかけです。その後、最初の小説「小さなトロールと大きな洪水」が一九四五年に発表されてムーミンはたちまち人気者になりました。しかし、ムーミンが世界中で大ブレイクしたのは、一九五三年にイギリスの新聞「イブニング・ニューズ」からのことなのです。そこらへんのことは「ムーミン公式サイト」に詳しく出ていますから、興味のある方はぜひ読んでみてください。

 コミックスのムーミンはトーベさんから弟のラルスさんへと引き継がれ、十五年間に渡って多くの読者を魅了し続けました。そのコミックスが筑摩書房から「ムーミン・コミックス全十四巻」として祖父江慎さんの装丁ですてきな本になっています。そのなかの一冊がこの「ムーミン谷のクリスマス」です。

 ムーミンって冬眠するんじゃなかった?
 冬眠するはずのムーミンも、新聞読者の声でおちおち眠っていられなかったようです。いったんは冬眠するもののクリスマス前に目を覚まし、なんだかとんでもないクリスマスを迎えます。ムーミンたちがどんなクリスマスを過ごしたのかは、読んでのお楽しみ。
 ムーミン・ファンの方は、クリスマスを機会に読んでみたらいかがでしょうか。

 日本でムーミンが最初にアニメ化されたのは一九六九年。当時、高校生だったぼくはそれを見てスナフキンのように暮らしたいと思ったものです。その理想はいまだに変わりませんが、もちろん実現もしていません。
 クリスマスの夜には愛用のスナフキンのマグカップでカフェオレでも飲みながら、いつの日かスナフキンのようになれることを夢見たいと思います。

 これで今年の「クリスマス絵本特集」はすべておしまいです。読んでくださったみなさん、ありがとうございました。
 それでは、よいクリスマスを!


海 五郎 * クリスマス絵本 * 14:32 * comments(6) * trackbacks(0)

羊男のクリスマス(大きくなった子どもたちへ その1)

羊男のクリスマス
羊男のクリスマス
村上春樹/文 佐々木マキ/絵  講談社  

 さあ、いよいよクリスマスは今週末。今年は三連休ということもあって、楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
 きょうは「クリスマス絵本特集」、おまけの一冊目。このおまけは中学生や高校生、そしてなによりも「わくわく本」読者の大半を占めているおかあさん方自身に読んでいただきたいと思います。

 この「羊男のクリスマス」は、いまや日本を代表する作家になった村上春樹さんと「ねむいねむいねずみのクリスマス」の作者でもある佐々木マキさんが二十年前に一緒につくった絵本です。
 まずは佐々木さんが灯台の近くで眠っているクジラの絵と、等身大のテディ・ベアが女の子とたわむれている絵を描いて村上さんに送り、その絵を見て村上さんがお話を書きました。ところがこの絵本にはクジラもテディ・ベアも出てきません。そのかわりに羊男が登場します。
 そう、この絵本は初期の頃から村上春樹さんの作品を読まれている方にはおなじみの「羊男世界」で起こるクリスマスの物語なのです。ある年、羊男がクリスマスのための音楽を作曲してほしいと頼まれ、そのことから羊男はとんでもない冒険に巻き込まれていきます。

 村上さんの初期作品でカバーを描いていた佐々木さん。この絵本を読むと、村上さんが当初から佐々木さんの独特な世界から大きなインスピレーションを受けていたことがわかりますね。
 そんな二人が一緒につくったのですから、二つの個性がねじれ合った不思議な世界が創出され、とてもファンタジックな作品が誕生しました。
 読後にほのかな暖かさが残るとてもすてきな絵本。クリスマスの夜、小さな子どもたちが寝静まった後に、暖かいストーブの前でこっそり読むのがおすすめです。


海 五郎 * クリスマス絵本 * 15:40 * comments(8) * trackbacks(2)

おおきいツリーちいさいツリー

おおきいツリー ちいさいツリー
おおきいツリー ちいさいツリー
ロバート・バリー/作 光吉夏弥/訳  大日本図書  

 約三週間にわたって続けてきた「わくわく本」のクリスマス絵本紹介も、とりあえずきょうの十二冊目でおしまいです。
 紹介してきた絵本はもちろんぼくの大好きな絵本ばかりですが、これがベストというわけではありません。まだまだ紹介したかったすてきな絵本はたくさんあるのですが、それは来年以降のお楽しみということにしたいと思います。

 途中でも書いたとおり、このクリスマス絵本紹介はまるでサンタクロースになったような気分で、ぼくにとってもたいへん楽しい作業でした。
 また、こうやってクリスマス絵本をまとめて紹介することで、ぼく自身もクリスマスについていろいろと考えさせられましたし、いつもの年にもましてクリスマスを楽しみにしています。

 先日、テレビドラマ「あいのうた」の最終回を見ていたら、主役の愛ちゃん(菅野美穂)の「クリスマスってさあ、何の日なの?」という問いかけに、「いま生きていることを感謝する日、かな」と死期の迫っている片岡優二(玉置浩二)が答える場面がありました。
 それぞれの人が、それぞれの思いを抱いて迎えるクリスマス。でも、そこに共通して必要なのは、やはり感謝の気持ちだとぼくも思います。
 その感謝の気持ちがあってこそ、クリスマスの日(その前の日々も含めて)を大切に思い、楽しみにすることができるのだし、それに見合った喜びや幸せを手にすることができるのでしょう。

 きょう、最後に紹介するのは「おおきいツリーちいさいツリー」という絵本です。
 もうすぐクリスマスというある日、大きなお屋敷に住むウィロビーさんのところに見たこともないような大きなツリーが届きました。ところが、その大きなツリーは大きなお屋敷の大広間でも、天上につっかえて弓なりに先が曲がってしまいます。
 そこで執事が呼ばれ、斧でツリーの先をちょん切りました。

 「これを もらって よろこぶのは だれか、ちゃんと わかっているんだ。」

 執事は切ったツリーの先を小間使いのアデレードに贈りました。アデレードはたいへん喜びましたが、そのツリーの先でさえ彼女の部屋の天井にはつかえてしまいます。それで、アデレードはてっぺんをはさみで切り、くずかごに入れて外に出しました。
 ちょうどそこへ庭師のチムが通りかかり、小さなツリーの先が目にとまります。チムは大急ぎでそのツリーの先を持って家に帰りました。

 「ラ、ラ、ラ! これは! これは!」
 おかみさんは、とても ほんとうとは おもえませんでした。
 「でも、うちは こぢんまりとしていて ちいさいんだから。」
 と、おかみさんは いいました。
 「もうちょっと、ちいさくても いいように おもうわ。」


 そうやって、さらに小さくなったツリーの先はくまのバーナビーの家に。そしてまだまだ、きつねのフリスキーの家、うさぎのベンジャミンの家へと。最後のほんとに先っぽだけになったツリーは、ねずみのミストールが見つけて我が家に持って帰りました。

 「ちょうど いい おおきさだわ!」
 と、おかあさんのねずみは うれしそうに いいました。


 一本の大きなツリーで、たくさんの人や動物たちが幸せなクリスマスを迎えることができたというお話です。みんなツリーの先を捨ててしまうという、ちょっと?な内容ですが、どこか不思議に心が温まるのはなぜでしょうか。とてもすてきなクリスマス絵本です。
 みなさんのところにもすてきで幸せなクリスマスが訪れますように。

 これで、今年のクリスマス絵本特集は終わりますが、おまけとして次回は大きくなった子どものためのクリスマス絵本を紹介します。
 長い間、このクリスマス絵本特集を読んでくださったみなさん、ありがとうございました。

※文中の太字部分は「おおきいツリーちいさいツリー」より引用


海 五郎 * クリスマス絵本 * 00:33 * comments(8) * trackbacks(3)

ねむいねむいねずみのクリスマス

ねむいねむいねずみのクリスマス
ねむいねむいねずみのクリスマス
佐々木マキ/作・絵  PHP研究所  

 いつも眠くて、お腹を空かしているねずみが旅をしていました。おまけに季節は冬。寒くて、眠くて、凍えてしまいそうです。

 すると、なんて うんが いいんだろう めのまえに
 そりが とまっているじゃないか。
 「てんのたすけ。かみさま、ほとけさま」


 ねずみはそりに積んであった大きな袋に潜り込みました。
 シャン、シャン、シャンとやがてそりは空を飛び始めます。そう、ねずみが潜り込んだのはサンタクロースのそりでした。
 何も知らずにねずみは袋の中で夢を見ていました。

 プレゼントの つつみを あけたら、
 おかあさんが でてきた ゆめ。


 次の朝、ねずみが目を覚ましたのは、知らない家の靴下の中でした。
 ねずみがそーっと靴下から出ようとすると、なんてこと、ねこです。ねずみは必死にねこから逃げ出し、暖炉に飛び込んで煙突を駈けのぼりました。
 ねこから逃れてほっとしたねずみは、急にお腹かで空いてきました。
 屋根から降りてくると、そこに立っていたのは雪だるまです。この雪だるまが空腹なねずみにすてきなプレゼントをくれるのですが、そのプレゼントが何かは絵本を読んでのおたのしみ。
 雪だるまからクリスマス・プレゼントをもらって、ちょっぴり幸せな気分にになったねずみです。でも、ねずみのひとりぼっちの旅は続きます。

 ぼくの大好きな漫画家であり、大好きな絵本作家でもある佐々木マキさんが二十三年前に描かれた絵本です。本屋でその年のクリスマスにこの本を見つけたぼくは、すぐに買って帰り、子どもと一緒に何度もこの本を読みました。
 佐々木さんは五歳のクリスマスの朝、目を覚ますとクレパスと画用紙のパッドが枕元に置いてあって、それから絵を描くのが好きになったそうです。佐々木さんの独特な絵の世界が誕生したのも、じつはサンタクロースのおかげだったわけですね。
 この「ねむいねむいねずみのクリスマス」は、いまでもぼくのお気に入りのクリスマス絵本です。

 ところで、サンタクロースがプレゼントのかわりにねずみを靴下に入れてしまった子ども、その子のプレゼントはいったいどうなったのでしょう。読むたびにそのことがちょっぴり気になります。

※文中の太字部分は「ねむいねむいねずみのクリスマス」より引用


海 五郎 * クリスマス絵本 * 01:03 * comments(2) * trackbacks(2)

さむがりやのサンタ

さむがりやのサンタ
さむがりやのサンタ
レイモンド・ブリッグズ/作 すがはらひろくに/訳  福音館書店  

 ぼくが幼い頃の様子は、父親がカメラに凝っていたらしく、たくさんの写真が残されています。もちろん昭和三十年代のことですからどれも白黒の写真ですが、なかには滑り台で泣いているところを四つ切りに伸ばしたものなんてのもあって、なんだか恥ずかしくなるぐらいです。
 そんな写真の一枚に、れっきとした外国人(?)のサンタクロースに、三歳ぐらいのぼくが抱かれている写真があります。その表情といったら、怯えきっていていまにも泣き出しそう。
 どこでそんな記念すべき写真を撮ってもらったのか記憶はありませんが、英語の教師をしていた父親の関係でアメリカン・スクールかなにかのクリスマス・パーティーで撮ったものなのでしょう。

 どうもぼくはそのときのサンタクロースの印象が心的外傷になったのか、おとなになるまでサンタクロース然としたサンタが苦手でした(笑)。いやいまでも多少苦手で、そのせいか今回ここまでに紹介してきた絵本の表紙にもサンタクロースといえば、シルエットだったり、窓から見える片手だけだったりで、あんまり堂々としたサンタは出てきませんね。

 おとなになったぼくは、そんなサンタクロースへの苦手意識を和らげてくれる絵本に出会いました。それがこの「さむがりやのサンタ」です。だってこのサンタさんは、クリスマス・イヴの日に朝目を覚ますなり、こんなことをいうんです。

 やれやれ また クリスマスか!

 そして、朝食を食べながら今度は....

 はやく なつに ならんかねえ。

 そりの用意に外に出れば....

 うー さむ

 いやはや、睡眠中は夏のビーチで日光浴の夢を見ているし、贈り物を届けた家では煙突なんてなけりゃいいのになんていうし、お礼はジュースじゃなくお酒でなければ不満そうだし、それはもう親しみがわいてくるんです。まあ、別にぼくは不真面目な人に対してだけ親しみをもつわけじゃないですけど。
 それにこのサンタさん、ぶつぶつ文句ばかりですが、とてもあたたかい感じもするんです。血が通っているっていうかね。いえ別に少し酔っぱらって赤ら顔だからじゃありませんよ。

 子どもたちもこの絵本は好きな子が多いようです。サンタクロースの存在を信じている小さい子も、けっこう喜びますね。身近に感じられて信頼が増すのかもしれません。そこらへんところ、子どもたちはとても柔軟です。
 むしろサンタクロースをどういうふうに見てほしいのかは、親の側の問題なのかもしれません。いまどき、ぼくのようにサンタクロースが怖いなんていう子はいないと思いますけが...。

※文中の太字部分は「さむがりやのサンタ」より引用


海 五郎 * クリスマス絵本 * 00:49 * comments(11) * trackbacks(1)

サンタさんありがとう

サンタさんありがとう―ちいさなクリスマスのものがたり
サンタさんありがとう―ちいさなクリスマスのものがたり
長尾玲子/作  福音館書店  

 クリスマスまで十日余り、いまごろ世界中のサンタさんは贈り物の用意に追われていることだと思います。
 それにしてもサンタに手紙を書いて欲しい物を伝えるというのは、誰が最初に考えたのでしょうか。これって、やっぱりおとなの知恵なんでしょうね。

 きょう紹介するのは、「サンタさんありがとう」という刺繍で描かれた絵本です。
 この物語に登場するしんちゃんもサンタさんに手紙を書きます。

 ぼくは、いっしょにあそべて おともだちになってくれる
 かわいい かわいい くまさんが ほしいです。
 ぼく ずーっと だいじにします。
 まってます。


 しんちゃんの書いた手紙は、郵便屋さんが北の国のサンタさんの家へ届けてくれます。サンタさんのところには、たくさんの子どもたちから手紙が来ました。
 サンタさんはその手紙を読んで、名札づくり。名札の表には子どもの名前、裏にはその子が欲しがっているおもちゃを書いていきます。
 名札を書き終えたサンタさんはそれを持っておもちゃの倉庫に行き、ひとつずつおもちゃに名札を付けていきます。こうしておけば、誰のおもちゃかすぐにわかるからです。
 やっとすべての名札をおもちゃに付け終わったとき、サンタさんは床に一枚の名札が落ちているのを見つけました。しんちゃんの名札です。
 ところが、もう倉庫のおもちゃにはひとつ残らず名札が付いています。

 「よし、ぼくが つくろう!」
 サンタさんは、しんちゃんの くまさんを
 じぶんで つくることにしました。


 おやおや、なかなか器用なサンタさんです。型紙を切り抜き、糸で縫って、かわいいくまさんをつくってしまいました。
 それから、サンタさんはしんちゃんの手紙をもう一度読み直し、しんちゃんが友だちになれるくまさんを欲しがっていることを知りました。それで、サンタさんは一生懸命考えた末に、くまさんに言葉を教えるこにしました。
 言葉を覚えたくまさんは、サンタさんとおしゃべりをしたり、サンタさんのお手伝いをしたりして、楽しく過ごします。

 やがて、クリスマス・イブの日になりました。すっかりサンタさんと仲良くなったくまさんは、「ぼく…ずーっと、サンタさんと いっしょに いたい」と話します。
 そんなくまさんに、サンタさんはしんちゃんの手紙を読んであげました。くまさんもしんちゃんが待っていることを知って、しんちゃんのところへ行く決心をします。

 さて、いよいよサンタさんは子どもたちのところへプレゼントを届け、しんちゃんの家にやって来ました。ツリーの靴下に入れられたくまさんは、ひとりぼっちでさびしい夜を過ごします。
 でも、安心してください。この絵本には、ちゃんと感動的なラストが待っています。そこはどうぞこの絵本を開いて、お楽しみください。

 そして、しんちゃんも くまさんも いいました。
 「サンタさん、ありがとう」


 クリスマスには、誰しもこんな感謝の気持ちを忘れたくないですね。
 刺繍で描かれた絵が、とてもやさしい気分にさせてくれるすてきな絵本です。

※文中の太字部分は「サンタさんありがとう」より引用


海 五郎 * クリスマス絵本 * 18:59 * comments(2) * trackbacks(1)
このページの先頭へ